相模原・座間の弁護士による企業法務相談

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急増する「スモールM&A」の注意点:買い手・売り手双方が知るべき法務デューデリジェンス

 後継者不足に悩む中小企業が増える中、第三者に会社や事業を売却する「M&A(企業の合併・買収)」が、有効な事業承継の選択肢として一般化しています。特に最近では、売却額が数百万円から数千万円規模の「スモールM&A」と呼ばれる取引が急増しています。マッチングサイトなどの普及により手軽に取引ができるようになった一方、法的な確認(法務デューデリジェンス)を怠ったために、買収後に多額の隠れ負債が発覚したり、契約違反で裁判沙汰になったりするトラブルも後を絶ちません。今回は、スモールM&Aを成功させるために、売り手・買い手双方が押さえるべき法務リスクについて解説します。

1. スモールM&Aで最も恐ろしい「簿外債務(ぼがいさいむ)」と隠れた法務リスク

 M&Aの交渉段階において、買い手企業は売り手企業から提出された財務諸表(決算書など)をチェックします。しかし、決算書には載っていない「簿外債務(隠れ負債)」や、将来的な法的トラブルの種が隠れていることが多々あります。これが、買い手にとっての最大の契約リスクです。代表的なものとして、以下のリスクが挙げられます。

未払い残業代の山

タイムカードの管理がずさんで、過去数年分の従業員の未払い残業代が数百万円規模で潜在しているケース。

取引先や顧客との契約トラブル

過去の施工不良やサービス欠陥に対して、将来的に損害賠償を請求されるリスク。

リース契約や連鎖保証の存在

会社名義の保証や、不利なリース契約がそのまま引き継がれてしまうケース。

 これらを見落としたまま買収(株式譲渡)してしまうと、買い手企業は買収後にその負債をすべて肩代わりしなければならなくなります。

2. 買い手のリスクをゼロにするための「法務デューデリジェンス(DD)」

 このような買収後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐための法的な調査手続きを「法務デューデリジェンス(DD)」と呼びます。大企業のM&Aでは大規模に行われますが、スモールM&Aであっても、規模に応じた「ミニDD」を弁護士に依頼することが絶対に不可欠です。

 法務デューデリジェンスでは、弁護士が売り手企業の定款、株主名簿、過去の株主総会議事録、主要な取引先との契約書、従業員の雇用契約書や就業規則などを細かくチェックします。たとえば、主要取引先との契約書に「株主が変わる場合は事前に承諾が必要(チェンジ・オブ・コントロール条項)」という規定があった場合、それを無視してM&Aを行うと、買収した瞬間に主要な取引を打ち切られるという致命的な事態になります。法務DDは、こうしたリスクを契約前に事前にあぶり出すために機能します。

3. 売り手企業が守るべき義務と「表明保証(ひょうめいほしょう)」の重み

 一方、会社を売却する「売り手」の経営者にとっても、M&Aは「売って終わり」ではありません。M&Aの最終契約書には必ず「表明保証(ひょうめいほしょう)」という条項が含まれます。これは、「自社は法令違反をしておらず、決算書に嘘はなく、隠している負債もありません」ということを、売り手経営者が買い手に対して法的に保証するものです。

 もし買収後に、売り手が隠していた法令違反や未払い残業代などが発覚した場合、売り手経営者はお「表明保証違反」として、買い手企業から多額の損害賠償を請求されたり、買収代金の返還を求められたりします。最悪の場合、せっかく得た売却益(引退資金)をすべて失うことになります。売り手は、自社の不利な情報であっても、交渉段階で弁護士を通じてすべて買い手に開示(ディスクローズ)することが、結果的に身を守ることに繋がります。

まとめ:M&Aの契約書にハンコを押す前に、プロのチェックを

 スモールM&Aは、プラットフォームの発展により見た目は手軽になりましたが、中身に適用される会社法や労働法、民法のルールは大企業のM&Aと全く同じです。仲介業者はマッチングを成立させることが主目的であるため、双方の法的なリスクに深く踏み込んで守ってくれるわけではありません。

 当事務所では、買い手側のための法務デューデリジェンスの実施から、売り手側のリスク開示のサポート、および双方の利益を保護する「M&A最終契約書(株式譲渡契約書など)」の作成・リーガルチェックまで、M&Aの実務を強力に支援しております。契約書に調印する前に、必ず一度、企業法務の専門家である弁護士にご相談ください。

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