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労働審判とは
労働審判は、労使紛争について、通常の裁判に比べて簡易迅速かつ柔軟に労働問題を解決するための裁判所の法的手続きです。
労働事件は、労働審判に限らず基本的に労働者保護を主目的として運用されます。労働審判においても労働者側は自分のペースで準備して申立てが可能ですが、企業側としては不意に申立書が届き、限られた時間で準備をしなければならないため、非常に負担の大きい手続きとなります。
労働審判の対象になる事件は、賃金・残業代請求、不当解雇による地位確認等などの労働関係に関する紛争全般が対象になります。セクハラ・パワハラ被害に遭った方が上司を訴える場合は労働審判の対象になりませんが、会社を訴える場合は対象になります。
労働審判対応の流れ
労働審判を申し立てられたら、会社側はすぐに弁護士を選任し、第一回の審判期日までに申立書に対する反論の答弁書と根拠としての証拠を準備して、期日の10日から1週間前に裁判所等に提出しなければなりません。また、初回から、当事者の経験した事実をまとめた陳述書を提出する必要があります。
第一回の審判期日では、申立人と相手方双方から提出書面の補足として言い分を聞かれ、争いとなっている部分がどこなのか、その決着をつけるポイントはどこなのかといった審理の要点を整理します。また、関係人から事情を聞いたり、書面の証拠を取り調べるなどして初回からかなり深い部分まで調査・検証を行います。
労働審判は、第一回の審理で労働審判委員会が事件の勝敗に関する心証を固めることも多く、そのような点からも早期に言い分や証拠を提出しておく必要があります。一回の期日につき、1時間半から2時間はスケジュールを確保しておくべきです。
第一回で結論が出ない場合は、次回の労働審判日までの準備事項を伝えて、各当事者が事前準備・提出をして期日を迎えることになります。
審理が尽くされたら、労働審判委員会の過半数の決議により審判を下すか、当事者に調停(和解)の打診をするなどして解決に向けたコミュニケーションをすることになります。
調停や審判が下されると、その効力として強制執行が可能になります。但し、当事者は審判を不服として通常裁判に移行することが可能です。通常訴訟に移行する場合、労働審判の申立書がそのまま訴状になります。
労働審判対応におけるポイント
労働審判の特徴として挙げられるのが、
①迅速性(speedy)、②柔軟で実効的(suitable)な解決、③専門性(specialized)です。
以下、順番に見ていきます。
迅速な対応
労働審判は、原則3回以内で審理を終結しなければなりません。このため、1回目の審判期日から労働審判委員会が各当事者に対して直接口頭で事情を聞いて事案の把握に努め、証拠についても取り調べてその意味するところを積極的に整理していきます。
また、当事者は第一回の審判日までに双方の基本的な言い分と証拠を全て提出し、これにより初回から事案の中核部分にまで迫った審理を可能としています。やむを得ない事情がない限り、第2回期日までに全ての言い分と証拠を提出しなければなりません。
これにより、労働審判の平均審理期間は77.2日(令和元年まで)と言われており、短い期間での解決が可能となっています。
事案に即した柔軟な解決
労働審判は、通常の裁判のように単に勝ち負けを決めるのではなく、解決のために相当と認める事項を解決書面に盛り込むことができ、事案の実情に即した柔軟な解決を図ることができます。
労働問題の専門家の関与
労働審判においては、裁判所は3人の労働審判委員会で事件を審理します。うち1名の労働審判官は裁判官がなります。あと2人の労働審判員は、経営者団体と労働団体から民間人各1名が推薦されて互いにいずれかに偏ることなく、中立公正な立場で審判員として構成されます。
このように、労働審判においては、法律の専門家である審判官と民間の労使の専門家である審判員が対等の立場で協議して表決をし、解決を図っていきます。
弁護士に労働審判対応を依頼するメリット
上で述べたように、会社側は労働審判を提起されると限られた時間で第一回期日の準備を強いられ、その間に答弁書や証拠を整理して反論しなければなりません。また、第一回の審理で労働審判委員会は解決への心証を決めることも多いです。そのため、会社側は初回から膨大な準備を高水準で行わなければ手遅れになる可能性もあります。このように限られた初期の段階で専門家でない方が高いクオリティの準備をするのはほぼ不可能といえます。
また、3回の審理も各審理がそれぞれかなり凝縮された話し合いとなり、展開も早いので専門家の助力があることで理解が進み、効果的な戦略や解決案を考えることが可能になります。
労働審判手続きにおいては、弁護士にご依頼することを強くお勧めします。
当事務所の強み・当事務所がサポートできること
当事務所は、日頃から企業側で労働問題に対応しており、労働事件に精通している経験豊富な弁護士が多いです。主な労働審判としては不当解雇や残業代の未払いがありますが、これらは争うポイントも定まっているため、要点を踏まえた弁護が可能です。
労働審判は、限られた時間内に要点をついた弁護を行い、証拠も全て揃える必要があるため、申立てをされた場合はお早めに弁護士にご連絡をなさることをお勧めします。
労働審判対応のご相談は法律事務所Sまで
当事務所は、200社を超える法律顧問と3000ケースを超える企業法務の相談実績から、労働審判対応に豊富な対応実績があります。ご相談の際は、以下のお問合せフォームまでお願いいたします。
また、企業法務全般において日々経営者や法務部等とコミュニケーションを重ねることで問題事例の拡大を防ぎ、法的紛争を未然に防ぐ法律顧問契約が効果的です。法律顧問契約についても、お気軽にお問い合わせください。
