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債権回収とは?
企業において売上を回収することはキャッシュフローの観点から大変重要なことであり、これがうまくいかなくなると黒字倒産のリスクすら生じます。他方で、日々の仕事の中で、商品売買代金の未払い、工事代金の未払い、提供したサービス料の未払い、医療費や介護費用の未払いなどが生じることは必ずあります。このようなケースでは、相手方との連絡が取れなくなったり、支払猶予の依頼をされるもその後も支払がなかったり、不当な言い掛かりをつけて支払いを拒んだり、経営状態が悪化しているという状態が多いです。
債権回収とは、そのような未払い金を交渉、仮差押え、訴訟、強制執行などの方法で回収する業務を指します。未払金は、長期間放置すると債務者の切迫性や資力が低下して回収率が著しく低下します。早めのご相談をおすすめします。
債権回収の時効について
2020年(令和2年)4月の法改正により、債権は原則として支払期限や最終の返済から5年が経過すると時効によって消滅してしまいます。債権回収を怠ると債権回収自体ができなくなってしまいます。
そこで、時効を更新させて消滅を防ぐために、相手方に配達証明付きの内容証明で請求をして時効完成を6カ月引き延ばしたり、相手方に債務を承認した書面を作成させたり、訴訟を起こすなどして時効の進行をリセットする措置を執るべきです。
交渉による債権回収の進め方
債権回収には、当事者間の交渉による方法と裁判所を活用した仮差押え、訴訟、強制執行などの法的手続きを行う方法とがあります。
交渉による方法は、法的措置を伴わない点で相手方との関係性に配慮したり、状況に応じた柔軟な解決が実現できる点がメリットです。
交渉の場合、通常は、まず相手方に請求内容を特定した通知書を配達証明付きの内容証明郵便で送付し、督促の事実を証拠化するとともに、相手方に支払を促します。通知書は、自社で行うことも可能ですが、弁護士に依頼した上で送付することで債権回収のステージが上がったことを相手方に示すことができ、こちらの本気度を理解してもらい、かつ支払いをしないと法的措置に移行することを示せる効果があります。
その上で、電話等で相手方の見解や資力、支払い方法などを確認して合意形成を目指します。相手方が資力がないなどと主張してきた場合、場合によっては相手方から決算書などの根拠資料を提出させてその真偽を確かめることもあります。
債権回収に関する合意に至ったら、相手方との間で合意書を交わして支払いをさせます。合意書を作成する場合、支払金額、支払時期、分割払いの場合はその内容、支払いを怠った場合の一括払いの約定や遅延損害金、連帯保証や物的保証などの担保の有無、その他関連事項を条項に盛り込んで、終局的な解決を目指します。合意書を作成することで、万が一合意通りに支払がなかった場合はこれを根拠に訴訟に切り替えることで立証を容易にするという効果もあります。
事案によっては、公証役場で公正証書を作成したり、裁判所を活用して即決和解の手続きを利用することで、未払の場合の強制執行を可能にするケースもあります。
法的手段による債権回収の進め方
交渉では回収ができない場合、訴訟、訴訟前の財産の仮差押え、訴訟によって判決を取った後の強制執行など法的手段を活用して債権を回収します。
法的手段は交渉に比べて強制力が高く、より確実に債権を回収することが可能です。法的手段による回収は以下の流れを取るのが通常です。
① 仮差押えの検討 ⇒ ②訴訟提起 ⇒③強制執行
はじめに、①仮差押えです。仮差押えは、訴訟の判決によって正式に権利が確定する前に仮に財産を差し押さえる手続きです。これにより、裁判中に相手方が財産を売却・散逸させたり、隠蔽することを防いで、回収を確実にする効果があります。
仮差押えをする場合、債権が有効に存在すること、訴訟前に仮差押えをする必要性を裁判所に証拠をもって疎明して相手方所有の不動産、預貯金、車両、売掛金・請負代金などの債権、ゴルフ会員権、生命保険などの財産について仮差押決定を出してもらいます。相手方の財産を保全する効果以外に、メインバンクの預貯金口座を差し押さえることで相手方が銀行から一括返済を請求されるため支払いを促すことができるという効果もあります。
仮差押決定はあくまで仮に差し押さえる手続きのため、請求権利に応じた担保金を収める必要があります。担保金は、後日債権回収が実現して、仮差押手続きを取り下げる場合は全額返金されます。
通常は仮差押決定後に訴訟を提起して正式に判決の獲得を目指しますが、事案によっては仮差押されることで相手方が観念して任意に返済をしてくるケースもあります。
次に、②訴訟提起、いわゆる裁判です。裁判は、証拠を整理した上で訴状を作成し、相手方を裁判所に訴える手続きです。訴訟提起から約1カ月で第一回裁判が行われ、以後一か月に1回くらいのペースで当事者間が双方の主張と立証を戦わせ、権利の有無、内容を確定させます。事案によって異なりますが、一般的には判決まで半年から1年ほどかかるケースが多いです。
勝訴すると判決書に基づき、相手方所有の財産に対する強制執行が可能になります。また、判決前に当事者間で協議して和解により任意の支払を実現するケースもあります。この場合、裁判所が作成した和解調書により、相手方が和解内容に基づく支払いを怠ると判決と同様に強制執行が可能になります。
訴訟には、通常の訴訟手続き以外に、60万円以内の債権について当事者で作成可能な簡易な訴状を提出して1回で裁判を終わらせる少額訴訟もあります。この場合、相手方が通常の訴訟への移行を申し出ると通常訴訟に移行します。少額訴訟の判決でも、その後に強制執行が可能です。
その他、支払い督促という簡易な手続きで権利を確定する方法もあります。
最後に、③強制執行です。判決に基づき、相手方の財産を正式に差し押さえる手続きです。仮差押は権利確定前に仮に財産を押さえておく手続きであるのに対し、強制執行は、正式に不動産を競売にかけたり、預貯金から債権を回収したり、相手方の財産を現金化する手続きです。強制執行が可能な財産は、仮差押えの対象財産と基本的に同様です。
強制執行は、債権回収の最終段階であり、これによって債権を回収出来れば解決で、強制執行対象財産がない、強制執行したものの、完済には満たないという場合は、新たに財産が発見されたり、相手方が任意に支払ったりしない場合は、回収不能になるケースもあります。
債権回収の前に抑えておくべきポイント
債権回収は、企業経営において必須の手続きですが、その実現は容易ではありません。以下では、そのポイントについてご説明していきます。
早期な対応で債権回収率が上がる可能性がある
債権回収を放置することで、相手方の支払い意欲や切迫性が低下したり、相手方の資力がより悪化するなどして債権回収の成功確率が著しく減退します。相手方がほかの債権者にも滞納している場合などは倒産のリスクも生じているといえます。
そこで、債権回収をする場合は、即時着手がポイントとなります。ご自身でどう動いたらいいかわからない場合、まずは弁護士にご相談なさって今後の対応をお決めください。支払期日に支払がない、支払い猶予を依頼された、連絡が取れない、他にも未払が発生しているなどの話が出たらすぐにご相談することをおすすめします。
債権回収を行う前に契約書の確認をする
債権回収をする場合、金額、期限、未払の場合の遅延損害金、担保の有無など関連する法律関係が契約書には記載されています。そこで、まずは契約書を確認して法律関係をチェックすることが大事です。また、契約書はそれ自体が証拠になります。
契約書がない場合、最低限見積書と請求書、一部支払いがある場合はその領収書、通帳の振り込み履歴、工事や売買目的物、サービスの内容がわかる書面や写真などを確保しておいてください。また、可能なら相手方の署名押印付きの未払残高が記載された債務承認証書をお取りになっておくことをお勧めします。
債権回収を弁護士に依頼するメリット
当事者が債権回収をする場合、できることは電話、通知、面会などの方法で交渉をするという内容です。弁護士であれば、未払金の性質、内容、金額、相手方の状況、資産状態、証拠関係などを踏まえて専門的な交渉をすることで相手方を説得し、回収率を高めることができます。
それ以外にも相手方の財産状態に応じて、秘密裏に相手方所有の不動産、預貯金、車両、債権などを仮差押えしたり、訴訟を行って権利を確定させて支払いを促すことが可能です。また、訴訟で勝訴しても回収ができなければ判決書は紙切れになってしまいます。弁護士は様々な観点から情報収集をして戦略を立てることでより現実的な方法を選択することが可能です。
債権回収を弁護士に依頼すると窓口が弁護士に一本化されて相手方の不当な言い訳を許さず、且つ債権回収という複雑な業務を一任できることで本業に専念できるという効果もあります。
当事務所の強み・当事務所がサポートできること
当事務所は、債権回収に豊富な実績があり、過去に交渉による回収を実現した件、仮差押えによって相手方から任意に支払いをさせた件、裁判の結果勝訴又は和解により回収した件、不動産や預貯金などの強制執行により回収を実現した件など、あらゆる債権回収方法による債権回収を実現してきました。
弊所は、ご依頼後早期着手により機を逸しない回収を実現するだけでなく、初期段階から事案と回収可能性を分析することで回収見込みが乏しい案件についてはその点も明確にお伝えすることで、ご依頼者が早期に現実的な対応をすることが可能です。
債権回収のご相談がある場合は、弊所に早期にご相談ください。
債権回収のご相談は法律事務所Sまで
当事務所は、200社を超える法律顧問と3000ケースを超える企業法務の相談実績から、債権回収対応に豊富な対応実績があります。ご相談の際は、以下のお問合せフォームまでお願いいたします。
また、企業法務全般において日々経営者や法務部等とコミュニケーションを重ねることで問題事例の拡大を防ぎ、法的紛争を未然に防ぐ法律顧問契約が効果的です。法律顧問契約についても、お気軽にお問い合わせください。

