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【弁護士が解説】2026年最新版!フリーランス新法への実務対応と外注先との契約見直しポイント

 深刻な人手不足を背景に、ITエンジニア、デザイナー、コンサルタント、あるいは事務代行など、フリーランス(個人事業主)に業務を外注する中小企業が急増しています。

 柔軟なリソース確保に欠かせないフリーランスですが、企業側の管理体制が追いついていないケースも少なくありません。2024年秋に施行された「フリーランス新法」は、従来の「業務委託だから自由」という認識を大きく修正し、発注側に具体的かつ実務的な義務を課しました。さらに時間が経過し、2026年の現在では行政による指導や勧告も本格化しています。今回は、中小企業が無意識のうちに陥りやすい法令違反のリスクと、外注先との契約見直しのポイントについて解説します。

 

1. 自社の取引は対象?フリーランス新法が適用される条件と基本義務

 フリーランス新法は、立場の弱くなりやすいフリーランスを保護するための法律です。適用されるのは、発注側が「従業員を使用している企業」、受注側が「従業員を使用していない個人事業主(または一人社長の法人)」となる取引です。
対象となる取引において、発注企業には主に以下の基本義務が課せられます。

● 書面等による取引条件の明示義務 業務内容の範囲、成果物の定義、検収基準、修正回数、追加費用の発生条件などを、書面やメール、チャット等で明確に提示しなければなりません。「とりあえず急ぎでお願い」「いつもと同じ条件で」といった口頭のみの曖昧な発注は、それ自体が法令違反となります。単なる形式的な書面交付では足りず、「具体性」と「証拠性」が重要です。

 

● 報酬支払期日の設定と遵守 報酬の支払期日は、発注した物品を受け取った日(または役務の提供を受けた日)から起算して「60日以内」の出来る限り短い期間内に設定し、確実に支払う義務があります。下請法と同様の厳しいルールが適用される点に注意が必要です。

 

2. 無意識の法令違反に注意!実務で陥りがちな「禁止行為」

 フリーランスに対し、期間が「1ヶ月以上」の業務委託を行う場合、発注企業には7つの禁止行為が定められています。中小企業の実務において、悪気がなくとも「無意識に」違反してしまいがちなのが以下の3点です。

● 不当なやり直し(リテイク) 問題の本質は「当初合意の範囲」を超えているか否かです。デザインやシステム開発などで最もトラブルになりやすいのが「やり直し」です。

 フリーランス側に落ち度がないにもかかわらず、「社長の好みに合わないから」「もう少し別パターンも見てみたいから」と無償で修正を要求することは「不当な給付内容の変更・やり直し」として禁止されています。要件定義を明確にし、当初の範囲を超える修正には追加報酬を支払う契約にする必要があります。防止策としては、要件定義書や仕様書を契約書と一体化させ、修正の上限回数や追加単価を明文化することが有効です。

 

● 買いたたき 物価や人件費が高騰している中、長年付き合いのあるフリーランスに対して「昔からこの価格だから」と、相場より著しく低い報酬額を一方的に据え置くことは「買いたたき」に該当するリスクがあります。定期的な見直し条項物価連動条項を契約に組み込むことが、予防的対応として有効です。

 

● 受領拒否 発注時に決めた仕様を満たしているにもかかわらず、「やっぱり今回の企画はボツになったから」と受け取りを拒否することは認められません。「仕様通りか否か」の判断基準を事前に明確化していない場合、企業側の恣意的判断と評価されやすくなります。

 

3. ハラスメント対策と契約解除(中途解約)のルール

 フリーランス新法における大きな特徴の一つが、「ハラスメント対策」と「契約解除のルール」が明文化された点です。

● ハラスメント防止体制の整備  企業は、自社の従業員だけでなく、業務を委託するフリーランスに対しても、パワハラ・セクハラ・マタハラ等を防止する措置(相談体制の整備など)を講じる義務があります。

 フリーランスは労働者ではないものの、実務上は指揮命令に近い関係が生じやすく、ハラスメントの温床となりがちです。相談窓口の整備だけでなく、外注先も対象に含む旨を社内規程に明記し、担当者教育を実施することが不可欠です。

 社内の担当者がフリーランスに対して威圧的な言動をとっていないか、改めて指導を徹底する必要があります。

 

● 契約解除における「30日前予告」 継続的(6ヶ月以上)な業務委託契約を企業側から中途解約する場合、または更新しない場合は、原則として「少なくとも30日前まで」に予告しなければなりません。

 「明日から来なくていい」「来月の契約は無しで」といった突然の打ち切りは違法となります。実務上は、更新条項や解除条項に「予告期間」を明記し、さらに業務引継ぎや損害の最小化措置についても規定しておくことが望まれます。

 

まとめ:業務委託契約書の見直しは弁護士にご相談を

 フリーランス新法に違反した場合、公正取引委員会や厚生労働省による調査が入り、悪質な場合は勧告・企業名の公表、さらには50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。企業名が公表されれば、「フリーランスを不当に扱うブラック企業」としてSNS等で拡散され、採用活動や企業間取引に致命的なダメージを与えかねません。

 「昔から使っている業務委託契約書のひな形をそのまま流用している」「LINEや口頭での発注が常態化している」という企業様は、早急な見直しが必要です。フリーランス新法対応は、単なる契約書修正にとどまらず、「発注プロセス全体の見直し」を意味します。書面化、価格の合理性、検収運用、社内教育といった各要素を一体として整備しなければ、実効的なコンプライアンスは達成できません。

 当事務所では、フリーランス新法や下請法に完全対応した業務委託契約書の作成・レビューから、取引フローの適法性チェックまで、企業法務の専門家としてサポートいたします。外注先との取引に少しでも不安がある経営者様は、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。

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